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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
澤村 斉美
天心に半月清かに駆けており君を想わんための一時
河二つぶつかり合えば冬近き朝々を靄街深く来る
終わりたる友情なれど植えくれし万年青(おもと)は今年もつぶら実を抱く
夕山をしぐれの去りて石蕗(つわぶき)は石段よりも光りいるなり
人はかく大人にならむ はにかみて「Bonjour」と言ふ時期のみじかさ
蟬脱のさまに飛行機の或部分ひらきしづかに車輪のいづるを
ドアを出づ、―― 秋風の街へ、 ぱつと開けたる巨人の口に飛び入るごとく。
逢ふといふはこの世の時間 水の上を二つの星の光(かげ)うごくなり
身ごもりし娘と自転車を押してゆく祖師ヶ谷大蔵処々梅花盈(み)つ
わたしの自転車だけ倒れてるのに似てたあなたを抱き起こす海のそこ
はるばるとよさの湊の霧はれて月に吹き越す稲のうら風
暗やみのかたちに合はせ何度でも鋳直すことのできるこの指
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