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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
久我 田鶴子
客死はたのぞみしことのはるけくも死さへまどろむふるさとの墓
乳母車押しくる母と車椅子押しゆくわれがすれちがふ午後
父の顔の幅だけいつも開いているカーテンが言う「待ちょうちゃったで」
ここに居ることの薄さのガラス戸に秋の冷たい指紋をのこす
日本海の黒き水面をなめてゆく二十一海里の光達距離で
足の裏なにかぬるつく雨上がりに素足で歩くカーリー寺院
感謝され逆に元気をもらったと言われ西日が焦げ付いていく
ホースリール回せばシュポポはね返りホースの先がしまはれてゆく
知らぬことまだまだありさうコンビニのクリームパンが好きな連れ合ひ
身をひとつ左へゆるい坂道にめぐらせゆけばそこが海です
尿する犬見てあれば人生の途中の時間あたたかくなる
かくも長き戦後を写真の廃墟にて立ちつづけゐる裸足の男の子
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