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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
久我 田鶴子
風防がらすのかけらをこすつてわかるものだけ手をあげてごらん
極東の列島は原爆実験にふさはしかりしか ああいまもなほ
体験を語らずに逝く人たちを思う小川の白き藻の花
うしろすがたに葉陰は揺れてもうそこに戻ることはない、夕闇の庭
とことはにまた新しくきみを恋ふ老いて病んでも尖塔だから
わたしはあなたにならない意思のなかにある淋しさに火という火をくべる
草の露ふくみしづかな秋虫のからだのなかで水はめざめる
君と君抱きあひたまへ酒杯置き月の光に射ぬかれながら
削り氷に甘づら入れて金碗に入れたるを食むわが白昼夢
もっとやさしく言えばよかった猫のためあける窓より秋雨が入る
蟬虫の懸命一途さもあれよ巣に拠り蜘蛛の静けき殺気
坂道を自転車おしてあがる間に東馬込一丁目の街灯ともる
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