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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
久我 田鶴子
とおきわが生命記憶のくらがりに死ねざりし父のいのちたゆたう
ひつそりと引き込み線が蜘蛛手なす昼の軌条のにぶくひかりて
この星の重力美しく青々と梅の葉かげに球体実る
地名に人の歴史はあかく血飛沫くを愚政の果てに消えゆきにけり
動画配信の塾の広告配りつつこの教室は既に瓦礫だ
「授業の後に巨人戦を観るのが夢」と語る青年 ころなしき夢
耳たぶを嚙み合うように薄情なことを互いにさらけ出そうよ
水中では懺悔も口笛もあぶく やまめのようにきみはふりむく
渡さないですこしも心、木漏れ日が指の傷にみえて光った
ありふれた土器のかけらのような午後黒ビールなどちょっと思った
むなもとに天道虫がとまりたりいつも通りをぼやぼやゆけば
籠り居の日々にしあれど今の今 未来の時間の最先端よ
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