さいかち 真のアーカイブ

潮曇るむかうの島をねむらせてまひるまの空に游ぶアヂサシ

きたぐにの夏空白く抉り取りグライダーわが頭上飛び越ゆ

本を焚き詩人を焼いてしまつたら、爽やかだらう。(都市の)明日も 

あけつぱなしの手は寂しくてならぬ。青空よ、沁み込め

たなぞこの上にのせたる見もあかぬ金剛石よ国の気は寄る

夏山の嶺かさなりてうちつづくみづうみべりに妻子らとゐる

ローソンの袋の皺に眼はありてじいつと俺の方を見てゐる

喉元に銃のはさまりし夢さめてかなかなは暁を鳴きそめにける

常よりも敵のピッチののろしとぞ見るはすなはち進み抜きたる

三河地震に宿舎はつぶれ二ヶ月余余震におびゆる日の続きたり

青柿のをさなくひかる梅雨過ぎて「生活学校」廃刊となる

江ノ島の海にクラゲが出始める前の海中われも泳げり

麦うれて細い流れが光っている わたしでない農夫が鎌研いでいる

よろこびは地の上の影 北極星をめぐりて永遠に星座はうごく

ちちんぷいぷい 何の呪文でありしかなТPPを見ざる日はなく

生口島の青いレモンをさし出せば母はてのひら合わせて受ける

アルタイルならぬ老い人ベガの待ちゐるとは思はねど橋渡る

少女ふたりわれの視界をふと出でてまた戻り来ぬそよぐごとくに

田の水にうつる夏山かなたにはまだかなたには死が続いている

暴力でオキナワくらいはなんとかなると軍用道路で話しているよ

アメリカの論の後追ふ学会が果てしのちわれは阿蘇を見にゆく

世の中は夢かうつつかうつつとも夢ともしらずありてなければ

逢わねども存在としてわが沼のごとき五十年充たして呉れぬ

管理ニモ監視ニモ慣レヒグラシノ我等完全無欠ノ死体

たはむれにロシア人ひとり生み出しぬステパン・アサリノヴィチ・フローニン

艦砲射撃坪九百発の読谷村ハイビスカスは芯立てて咲く

ほしいままに眠るといふこともあらざればじんじんと頭の芯のつめたさ

ひしひしと頰を打ちくる草の実のけはひばかりに形は見えず

一秒後には冷えにけりさわらびのぼくと天使とぼくのスラング

遠くに近くに熖はいまはいちめんなりいづくに行くかこの八衢を

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