さいかち 真のアーカイブ

まなざしに耐へむと思ふ仄ぐらき杉やまは杉の息の青むに

御諸つく三輪神蛇の男神なまのたまごは置かれてゐたり

学歴は二の次にして腕力でモテるひとたち 獅子、カムヒア

天国の求人票をまき散らし西瓜畑へ遊びに行こう

彗星のほろびつつ曳く長き尾のながき一夜をあぢさゐ白む

半夏生しらじら昏れて降る梅雨に母は病みこもる父と老いつつ

十楽の賢しく白き花咲きて江戸町裏の女ありしか

頭から洗いはじめたるわれを不思議なにんげんという

筑波根の新桑まゆの糸なれや心引くよりみだれそむらん

危き足に走りゆく者なり追ふ勿れ笑ふ勿れ影を見送れ

夜半の雨しずかに心濡らすとき祖母たちの踏むミシン幾万

ほととぎすけはしき声を吾が聞けば竹負ひてよろめくをあざ笑ふにや

夕かけて双子の山にゐる雲の白きを見れば春たけにける

万葉の窓を開くればにぎはしき野のさへづりや大宮人の声

全速の自転車に脅え日日あゆむこの街に来てはじめての夏

人生は壊れものだと思うだろう 言葉が見つからない、きみの前

直立せよ一行の詩 陽炎に揺れつつまさに大地さわげる

木製の銃でデコイの水鳥を撃ち抜いた、って感じがしたね

一人の子を呼ぶとてけさも五人のみなの名を呼び子にはやされぬ 

一つ二つ小石にまじる青蜆萌えいづる春の色にもあるかな

遂ぐる日をしらねはろけき祈りもて久遠におのれを繋ぐといはむ

男系の孔子三世の墓ありて墓なき女は空にかがやく

売るほどに霞みゆきたり縁日を少し離れて立つ螢売り

鈴を産むひばりが逃げたとねえさんが云ふでもこれでいいよねと云ふ

ほほゑみを示す顔文字とどきゐつ鼻のあたりで改行されて

漠さんの春の笑顔をおぼえておくそうぼくたちは思うここにて

とどろきて風吹きゆする硝子戸に紅はきよし沈丁花のつぼみ

虎猫やけだし荒もの前掻きて後背高むる眼のすゑどころ

海ふかく沈める艦がかぎりなき潮のながれに音ひびくとぞ

思惟像のあてどなき掌のかなしみよ春を含みて雨流れたり

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