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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
生沼 義朗
島本太香子/息を吸い肺膨らませ吐いて泣くそれが独りで生きる始まり
京表楷/氷詰めの指と指無し患者来て七時間かけ指もとに接ぐ
吉川宏志/桜まだ咲かざる闇に立ちながらアナクレオンの如き死を聞く
佐々木実之/使ひきらざるティッシュを受け取り来し我にかなしみのごとくティッシュは溜まる
紺野裕子/たれかれの消息にはなし及ぶとき放射線量つもるふくしま
井上雅史/七年を経た仙台の地下鉄の通勤客にスニーカー多し
花山周子/三時草の爆ぜたるのちのさびしかる錆色の実を真夏に見おり
花山周子/春風に杉の樹冠は揉み合える戦にも似る交合のさま
鈴木陽美/伸びた分だけしか切らず変わらないわたしが初冬の街に出てゆく
黒﨑聡美/海苔缶にゆび弾ませててきとうなリズムを生めば少しあかるむ
黒﨑聡美/待合室はさいしょに暮れてさかさまに戻されていた雑誌を直す
浜田蝶二郎/かうするつもりだつたが結局かうなつた 長き一生(ひとよ)を要約すれば
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