光森裕樹のアーカイブ

ひと憎むことほど易きことはなく松の針ふる下を歩めり

食ひ終へて食ひ飽かぬとぞわが母のわれを憎しむ目に力あり

生涯憎み続けるといふ一言をむしろなぐさめとして覚めをり

すがれゆくパルテノン多摩若すぎて憎まれるうちに教授になりたい

あさかげの今井美樹的東京を数度(すたび)おとなひ数たび憎みき

聡きことわづかに憎し主もたぬ犬さへひとを嗅ぎわけて寄る

しどけなく電車に眠る少年の微かにひらくくちびる憎し

愛告げてのちの夕映え 理科室に聞きくれし友を憎みはじめぬ

わが(ひげ)
下向く(くせ)がいきどほろし
このごろ(にく)き男に似たれば

夜の公園にポケモン探せと奨励せしこの世あまりに小さき日本

親にスマホもPSPも取られて良かった自由ですと日誌にあり

裾上げを待つ ストIIのデモ音がやけに響いているゲーセンで

ご先祖さま曰く「あ、WiiFit!……型の体重計て……ホンマに萎える」

パソコンの〈ごみ箱〉に棲むテトリスをときをり呼びてまひるま遊ぶ

プレステが解禁となる受験後の一戦早くも()られておりぬ

たまごっち・オスっち・メスっち・てんしっち 育児・生死(しゃうじ)も手のひらに載る

ファミコンはいつ買つてくれるかと電話にておもひつめたる声で言ひけり

雨宿りせし駄菓子屋にインベーダーゲーム機ありき あの夏のこと

TODOのリストに子どもの一日の話を聞くことを追加する

to doを書き出すことを脳内のto doリストの筆頭に置く

2月5日の夜のコンビニ 暴力を含めてバランスを取る世界

靴下は穿くためにある――十二月二十四日の母の口癖

春泥を踏みつつゆふべ帰り来て皮膚脱ぐやうに靴下を脱ぐ

利己的な点すこしある友人の話題が靴下ストッキング のことに戻る

つま先に灯を点すような恋だった 靴下を履くことを覚えた

君の弱みのごとく見ている靴下の裏側すこし汚れいたれば

少しやさしくされると少し気になってしまう単純 靴下を脱ぐ

なんでなんで君を見てると靴下を脱ぎたくなって困る 脱ぐね

第三次世界大戦終戦後懇親会に出席します 御欠席

赤紙をもらった人だけが見れるめちゃくちゃおもしろい踊りだよ

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