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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
生沼 義朗
筑波杏明/われは一人の死の意味にながく苦しまむ六月十五日の警官として
大辻隆弘/東京を敵地とぞ思ひ来しことのあはあはとして中野梅雨寒
寺尾登志子/わたくしといふ現象を突き抜けて見えたつもりのあなたが見えぬ
萩原慎一郎/ひるやすみカレーうどんを食べながら愛のない暮らしなどはうんざり
大滝貞一/つゆぞらに首掲げ咲く桔梗(きちかう)の藍(あゐ)は天安門の喪の花として
中川佐和子/故もなく撃たれしひとりを支えつつ撮れと言いたる声が伝わる
外塚喬/生(なま)蒸気がパイプを戻りくる音をとらへて午後のわが耳は鳴る
本条恵/生け垣が羊の群れになる四月「大学通り」に咲くユキヤナギ
大澤サトシ/巻き返し出来ない程にひねくれた外反母趾も自分の歴史
沖ななも/熟れすぎの桃の匂いののぼりたち捏ねあわされて昭和はあるも
有沢螢/春三度(みたび)われに巡り来 動かざる手足やさしく撫づるごとくに
春日いづみ/手鎖の刑を受けしか今朝の夢弓手の手首に痺れ残れり
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