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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
魚村 晋太郎
汗香る髪はいつしか雨となる雨のむかうに灯る紫陽花
もうどんな約束もなし身ひとつを運びきたりて菖蒲にかがむ
右足から蔓を伸ばして右耳に凌霄花の花咲かせたし
日照雨過ぎムーアの丘に虹立てり大洪水後いく度目の虹
吃水の深さを嘆くまはだかのノア思いつつ渋谷を行けば
足もとに寄り来る鳩はにんげんがにんげんを殺すことを知らざり
六月の折鶴かなし八人の子供に長き死後とふ時間
次の夏いっしょに行きたかった場所 あした言おうとしてたひとこと
夕映えはあわぁいあわいびわの色いまでは思い出せない味の
蛍の谷見よと言いし人再びを見しかと問いて誘いはせず
もうあまり会わなくなったきみの傘も濡らしてますか今日の夕立
カナリアの羽ぬけかはる夏となりとまり木の上にひと日黙せり
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