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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
山下 翔
忘れやすくなるはお互ひさまなれどお互ひを忘れるまでにいたらず
一生分の牡蠣を食つたと言ふ奴もみんな一緒にあたらうねと言ふ奴も
枝掴む足と瓦にひらく足スズメが感じている足の裏
久々に銀だこのたこ焼きを買う雨の大井で大穴が出る
入り汐とわれとしづかにすれ違ひ浜まで歩く川沿ひの道
もうそこまで青い闇が来ているのに風景を太く橋が横切る
けふは昨日をあしたは今日をなぞるだらう輪唱のやうに夫と暮らす
寝ね際のわれの気散じ冬眠の亀の寝息に思ひは及ぶ
街なかにあふれてゐたり花の名を知りたるゆゑにその花さはに
赤銅の銅鑼とし架かる満月をどおーんと打ちて駆けくだりくる
いまだ陽を知らぬ白さに今年の芽つちのなかよりあらはれいづる
薄曇る空を小さく切り取りぬサランラップの芯を覗きて
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