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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
平岡 直子
日本中八十円切手で行くのかと訊きて息子の電話切れたり
星なのか東京なのかわからない深夜の窓に遠くを見れば
薄暮光けふは世界に触れ過ぎた指が減るまで石鹸で洗ふ
あの人が住む方(かた)より吹く風なれば風吹くだけで腫れる唇
何をしていても過ぎゆく風景に蝶番あり時折ひらく
茸、セロリ、豆腐など手に持つわれがわづかに冷ます白日の都市
まだきみに何か期待をよせていて崖の間際の街くずれそう
クリスマス・ソングが好きだ クリスマス・ソングが好きだというのは嘘だ
小松菜が値引きをされて横たわるかたわら過ぎてふと立ち戻る
人間のふり難儀なり帰りきて睫毛一本一本はづす
逆になりふたたびはじまることさえも砂時計に似た裸体を抱く
高校の夢を見ており 竹内が群れからはなれわが部屋の戸に立つ
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