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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
岩尾 淳子
風を切る音聴きたくて振り上げたサランラップの芯振ってみる
おのづからわれを離れて霧となる息嘯おきその息のごとく詠みたし
まなぶたのくぼみ激しくなりし夏蝶も鳥らもさりげなくゆけ
テーブルを拭う夕べはさよならをしなかったひとばかりが遠い
どこにでもある不安なりペンに書く文字をゆがめてブルーブラック
ゆく雲はするどき影を胎はらめども言葉をもちてわれは来にけり
鳥語降る木を見上げゐる朝の道悲哀の声はみぢんもあらず
そのままのきみを愛するなんてのは品のないこと 秋 大正区
青き田に降りゐる雨の色見えず見えざることにやすらぎてをり
山あひにおりしずまれる白雲のしばしと見ればはや消えにけり
町をゆくすべての人は使者として夏の日暮れを音もなくゆく
ひたすらに面わまもれり悲しみの心しばらく我におこらず
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