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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
岩尾 淳子
鳥のように木の間を分ける黒揚羽 思い出はもう庭に来ている
あたたかき日に氷片のごとき日をはさみて冬のはじめ子は癒ゆ
檜の香部屋に吹きみち切出しの刃先に夏の雨ひかりたり
拾い読みして戻すその本の背文字が光りその本を購う
ダンカンのように思わぬ死のもしやわれにあるやも 夜の水飲む
北岸に暮らしていても晴れた日は眉山が見えて窓に呼ばれる
手をとめて入り日に頭を下げてゐし父よミレーの晩鐘知らず
わたしここで何やってんのと呟けば海ハイ雲ヴァン峠にたなびく霞
うすぐもる青葉の山の朝明にふるとしもなき雨そそぐなり
海色のききょう咲きたりぽぽぽんと夫の告別より戻り来たれば
蝶なりしころの記憶が湧き出でてスティック糊がころんとうごく
つたかづら生き生き家を巻き締めて閉ぢこめられし仏壇ひとつ
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