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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
岩尾 淳子
いかにせん雲の行くかた風のおと待ちなれし夜に似たる夕べを
存在を海にうかべるほかはなく船はまぶしく窓辺を揺らす
六月の朝のくもりを雀とぶそらより土に土より空へ
なほざりに山ほととぎす鳴きすてて我しもとまる杜の下かげ
何にしろ今のままではいられない遡上する鮭の群れに加わる
行き先の表示つければそこまでは行くバスに身を任せたり
なかなかに 鳥けだものは死なずして、餌ばみ乏しき山に 聲する
さびしさの単位はいまもヘクタール葱あおあおと風に吹かれて
雪を拂ひ 乗りてはおり行く人を見て、つくづくと居り。汽車のひと日を
木漏れ日を浴び続ければ白樺の木になりそうなほどひとりなり
囀りの声すでに刺すごとく森には森のゐたたまれなさ
いにしへに恋ふる鳥かも弓弦葉ゆづるはのみ井の上より鳴き渡りゆく
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