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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
岩尾 淳子
罌粟咲けば罌粟にあふるるおもひありてひと日陶器のごとく過ぐさむ
五十年使い慣れたるこの辞書のやぶれかぶれの我の老年
閉店のやさしい音楽が流れて、旅を勧めてくる雑誌を閉じる
まあそこに居つたらええよ、なんとなくほつと咲いてる木瓜とわたしと
沼に沈む悲しき馬の嘶きを聞きてあわてて絵本を閉ぢる
ゆらゆらとわれの寝覚めし朝焼けはほのおのようなダリヤのような
壁のそばに葉が揺れてゐる葉のうらに風が光つてゐる五月であるも
てふてふが一匹東シナ海を渡りきてのち、一大音響
あした産む卵を持ったままで飛ぶ 燕は川面すれすれにとぶ
キリストの生きをりし世を思はしめ無花果いちじくの葉に蠅が群れゐる
時々、ひばりは空にのぼりゆき人間のすることを見るのです
ジャングルジムに少年たちがぎっしりと本を読んだりぶらさがったり
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