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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
もの思ひにしづみゐるのかかはたれを重たげに咲く千年桜は
昼間にはなかったかのよう夜の駅からドクダミの白見えすぎている
桜に雨 父はちいさな顔をして枕の上に目をひらきたり
死ではない終はりを待つてゐるひとがありの実を剝く皮をたらして
かざし来し傘を畳みて今われはここより桜花の領界に入る
ほの白き卵を守りつつ女王蟻も身をよじるかな あくびのために
ほろほろと桜散れども玉葱はむつつりとしてもの言はずけり
桜散る川沿いにひと群れながら私たちみな川の見る夢
焼け原のはてに かすかに浮かびゐし、幽鬼のごとき 富士を忘れず
口角を上げて笑へと書かれゐる接客マニュアルのさびしき笑ひ
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