Archive for the '今日の一首鑑賞' category

佐々木実之/使ひきらざるティッシュを受け取り来し我にかなしみのごとくティッシュは溜まる

庄司邦生/濁流に胸まで浸かり年金証書頭に載せてひたすら逃げる

紺野裕子/たれかれの消息にはなし及ぶとき放射線量つもるふくしま

金野友治/田も畑も見渡す限り沼となり遺体浮く見ゆ三月十二日

井上雅史/七年を経た仙台の地下鉄の通勤客にスニーカー多し

林静江/十一日で止まりし日付けと日直を丁寧に消し職を退く

花山周子/三時草の爆ぜたるのちのさびしかる錆色の実を真夏に見おり

真中朋久/子の旋毛のやうだと思ひもう一度細線にかへて台風を描く

花山周子/春風に杉の樹冠は揉み合える戦にも似る交合のさま

真中朋久/山越えの風にふるへる大枝を寒の夜尿(ゆばり)しつつ思ふよ

鈴木陽美/伸びた分だけしか切らず変わらないわたしが初冬の街に出てゆく

式子内親王/時鳥そのかみやまの旅枕ほの語らひし空ぞ忘れぬ

黒﨑聡美/海苔缶にゆび弾ませててきとうなリズムを生めば少しあかるむ

大辻隆弘/箔かろく圧したるごとき雲はゆき風明かりする午後となりたり

黒﨑聡美/待合室はさいしょに暮れてさかさまに戻されていた雑誌を直す

白石瑞紀/さざんくわの咲きゐる枝の両腕を空にさしあげ雪だるまをり

浜田蝶二郎/かうするつもりだつたが結局かうなつた 長き一生(ひとよ)を要約すれば

遠藤由季/風立ちてわが額へと注がれる落ち葉の痛し洞ならざれば

池田はるみ/マンションはガーゼ巻かれて建ちをれば風にかすかな窓明りあり

五島諭/歩道橋の上で西日を受けながら 自分yeah 自分yeah 自分yeah 自分yeah

奥村晃作/正確に刻んだ結果十ミリの女人立像ジャコメッティの

本多真弓/寝室にひもの一本垂れてあり昭和の紐をひいて眠らな

奥村晃作/一般に犬はワンワン叫ぶから普通名詞でワンちゃんと呼ぶ

坂井修一/うちいでて鶺鴒あをし草深野一万人の博士散歩す

田口綾子/そこに直れ、歌にするから歌になりさうなポーズを今すぐに取れ

黒木三千代/〈草深野〉この露けくてあえかなることばを忍ぶる恋のあしたに

田口綾子/ほんたうにアホだしいいやつだと思ふ「寄り寝」一語に大喜びで

沢田英史
ふり返るわが草深野をちこちのしげは残念に似て

宮川大介/#マストドン その末席に君を恋う声ぞこだまのhttps://youtu.be/gsNaR6FRuO0(ピポピーピョロロ)

中皇命
たまきはる宇智の大野に馬並めて朝踏ますらむその草深野

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