Archive for the '今日の一首鑑賞' category

わが愛するものに語らん樫の木に日が当り視よ、/冬すでに過ぐ

橋本喜典
風の中に花ふるへをり同情にとどまるのみが常なるわれか

翔ばむといふ夢ならず歩まむ願ひもて歩きゐる夢くりかへし見る

小池光
雪に傘、あはれむやみにあかるくて生きて負ふ苦をわれはうたがふ 

わが佇つは時のきりぎし今生の桜ぞふぶく身をみそぐまで

山中智恵子
行きて負ふかなしみぞここ鳥髪とりかみに雪降るさらば明日も降りなむ

コマーシャルのあひだに遠く遅れたるこのランナーの長きこの先

スサノオノミコト
八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を

寝たる手の届くところまで電灯の紐を垂らせば年は終りぬ

写真に忘れられた海岸をきみもまた忘れるだろう どこまでも道は

逢えばくるうこころ逢わなければくるうこころ愛に友だちはいない

わが指が日本地図を指してゆくそこに友だちが生きてると思い

「先生、吉田君が風船です」椅子の背中にむすばれている

木の周辺部は白太と云うが中心部は赤身と云える 魚のごとし

ユニクロに誰にもさわれない月の模様のシャツがあってもいいね

上顎に湧きあがりつつほどけゆくくしゃみの余韻、中庭に鳩

すべてを選択します別名で保存します膝で立ってKの頭を抱えました

家々にしずかなる松葉降り当たりうつくしき色、茶色というは

ネコかわいいよ まず大きさからしてかわいい っていうか大きさがかわいい

箇条書きで述ぶる心よ書き出しの一行はほそく初雪のこと

タンク山にのぼった、わたし、明け方の夢にあなたの顔をしていた?

帰ったら雑穀ご飯でも食べよ新宿代々木原宿渋谷

真夜中の電話に出ると「もうぼくをさがさないで」とウォーリーの声

今週会った人たちはみんないい人で土曜の夜は紅茶を飲んだ

樹木から樹木に移り肺のごと息づきてをり冬の時計は

花火した話を人にしているとときどき誰とと聞く人がいる

ローソンのバックヤードでくちづけをおぼえる子供たちによろしく

寒くなるほどさびしくなっていきやがるカレンダー薄っぺらな心め

シャツの胸に十円玉が透けている日差しの中であなたは使う

もう君の望むことしか言えないよ灰皿に落ちる無数の蛍

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