Archive for the '今日の一首鑑賞' category

黒﨑聡美/海苔缶にゆび弾ませててきとうなリズムを生めば少しあかるむ

大辻隆弘/箔かろく圧したるごとき雲はゆき風明かりする午後となりたり

黒﨑聡美/待合室はさいしょに暮れてさかさまに戻されていた雑誌を直す

白石瑞紀/さざんくわの咲きゐる枝の両腕を空にさしあげ雪だるまをり

浜田蝶二郎/かうするつもりだつたが結局かうなつた 長き一生(ひとよ)を要約すれば

遠藤由季/風立ちてわが額へと注がれる落ち葉の痛し洞ならざれば

池田はるみ/マンションはガーゼ巻かれて建ちをれば風にかすかな窓明りあり

五島諭/歩道橋の上で西日を受けながら 自分yeah 自分yeah 自分yeah 自分yeah

奥村晃作/正確に刻んだ結果十ミリの女人立像ジャコメッティの

本多真弓/寝室にひもの一本垂れてあり昭和の紐をひいて眠らな

奥村晃作/一般に犬はワンワン叫ぶから普通名詞でワンちゃんと呼ぶ

坂井修一/うちいでて鶺鴒あをし草深野一万人の博士散歩す

田口綾子/そこに直れ、歌にするから歌になりさうなポーズを今すぐに取れ

黒木三千代/〈草深野〉この露けくてあえかなることばを忍ぶる恋のあしたに

田口綾子/ほんたうにアホだしいいやつだと思ふ「寄り寝」一語に大喜びで

沢田英史
ふり返るわが草深野をちこちのしげは残念に似て

宮川大介/#マストドン その末席に君を恋う声ぞこだまのhttps://youtu.be/gsNaR6FRuO0(ピポピーピョロロ)

中皇命
たまきはる宇智の大野に馬並めて朝踏ますらむその草深野

小高賢/ネクタイをかたく絞めれば目や口が鼻を目指して集う気のする

睦月都/歩むこと知らずひた立つ橋脚が彼岸に渡すわれの自転車

廣野翔一/生活に仕事がやがて混ざりゆく鉄芯入りの靴で外へと

睦月都
人界にたちこむる異臭嗅ぎわけつ台湾料理「瑞鳳」へ往く

高島裕/労働は、寒い。つかのま有線の安室をなぞるくちびるを見た

椛沢知世
水着から砂がこぼれる昨年の砂がこぼれて手首をつたう

二三川練/文献のコピーを取れば海溝のようにインクの黒くあるノド

工藤吉生
腹をもむ いきなり宇宙空間に放り出されて死ぬ気がすんの

糸田ともよ/さみしいひとかげがゆめのしんになりぎんがをだいてかたむいてくる

工藤吉生
公園の禁止事項の九つにすべて納得して歩き出す

斉藤斎藤/ラブホテルの角を曲がってT井くんにここのカレーを食べさせたかった

工藤吉生
ボケというひどい名前の植物の背丈がオレとそう変わらない

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