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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
久我 田鶴子
いまわれは吾子を殺せりまなうらがこんなに熱き怒りのうちに
これでなにか美味しいものでも食べなさいと一万円をわが掌にかくす
結局はこの人から生まれたのだ蟬のしき鳴く未明ちかきに
生のなべてを振り捨ててもと泣き叫びなめこを欣求する吾児である
連翹の花が咲くまでじっとしてしばらく居よう 鬼さん来るな
ふゆ日和ほつかりと浮く白鳥の一羽と九十九羽の不在
古本にひとすじ銀の毛光りたり時間はにわかに曲がりはじめる
何切ると云ふにあらねど折折は光に見入るカッターナイフ
耳ひとつふたつみっつと落ちているように紅椿咲き終えている
ゆふぐれに足をひらいて立つてゐる七歳と五歳 私の孫よ
きかん気な少年が空を駆けてきて関八州はひさびさの雪
碧玉
へきぎよく
のキーウィ食めば死は不意にわが子と氣づく生まざりし
吾子
あこ
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