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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
久我 田鶴子
鼻すこし変形するまで原発の事故後をながくかけてたマスク
ひそやかに汚染水流れ込む海を照らしつつ月は渡りゆくなり
もう逢えぬ人あまたある三月に小鳥来てふいー、ふいー、と啼くも
口の端の薄きしょっぱさ朝焼けよこりゃあなんだよ誰が泣いてる
能登に来て海の不思議を語りだす来春はわが妻になる君
茉莉花の香にひたさるる宵なりき卓に白磁の碗ふたつ置き
雪に傘ひらけばすなはち壊れたり風のつよさはそのあとに知る
生活のとある日の暮れハクモクレンのをはりの花がことりと散りぬ
さきがけてきぶしの花の咲くころは道ゆくをんなのひともまぶしい
思うひとなければ雪はこんなにも空のとおくを見せて降るんだ
噴水を見て立ちながら初恋の歯ならびもいまはまだおぼえてる
図書館はとてもしずかで子供なりの小声がおしっこと言っている
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