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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
久我 田鶴子
病院を憎みて祖父は鮭のカマ大きを買いて帰りきて焼く
ぺろんぺろん季節が顔を舐めあげて読み取っていく認証コード
燃えながら生きている肺こころよりからだはあかるく火照りつづける
後ろ手に髪をくくれり夜の更けを起きて詩を書くならず者にて
訳もなく靴ひもを固く結ぶとき何を絞め殺したんだ僕は
汗ばんで額に張り付く前髪を陽の差す中ではらってくれる
問はれればくちごもりながらも言ふだらう はじまりは土、土と草むら
山居にて一人遊びす股旅酒、山椒の擂りこ木、元の証拠干し
受け入れてゆくべき日暮れ誰もゐない椅子があたたかかつたそのこと
長男の妻と続柄書き添へぬ主たる介護者わが名の脇に
お互ひに聞かぬ言はぬの距離ながら白露の萩に解けてゐたり
よく聞いて応へて詫びて赦されてさういふものになつてしまつた
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