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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
永井 祐
わが体の秘密をいはば
左膝蓋
ひだりしつがい
下部一寸余脛毛つむじ巻く
ふた瘤を揺りていとけなく立ち上る駱駝を午後のくもりに見をり
夜の道来つつし見れば凍りたる立方体の
烏賊
いか
をほどける
おおはるかなる沖には雪のふるものを胡椒こぼれしあかときの皿
はるかにて互みに
昨夜
よべ
の雪をいふ根雪にとほきわが海の雪
秋かぜに靡く山路のすすきの穂みつつ来にけり君がいほりに
秋の日に光りかがやくすすきの穂ここの高屋にのぼりて見れば
自動車がずずんと過ぎしあとの
路地
ろぢ
犬も雀も素足に歩む
七階に空ゆく
雁
がん
のこゑきこえこころしづまる吾が生あはれ
草むらをひとり去るとき人型に
凹
くぼ
める草の起ち返る音
どの店のガルソンもマツチを二つづつくれる不思議さをかんがへて見る
眉
まゆ
しろき
老人
おいびと
をりて歩きけりひとよのことを終るがごとく
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