コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
門脇 篤史
誰にでもある思い出を聞きながら新潟県の夜を歩いた
黄昏に遅れてくらみゆく沼の/口をひらいて人の名をよぶ
死ぬものと死なないものに分けていく思考に鳥が座礁している
七年後だれかがはずすクリップを機密書類と箱にしまえり
靴ずれを見むと路上にかがむとき雨の路上の音量あがる
大風にいきなり揺れる
公孫樹
いちょう
の黄この世の夢はこの世にて見よ
たましひのはうと抜けゆく口に似る靴を買ふため脱ぎたる靴は
わが墓は要らねど花と酒一合ささげ墓前に身をかがめたり
わたしたち夏から冬がすぐ来ても曇天を今日の服で飾って
人類を森口博子を知る者と知らない者に分けて秋雨
一年に十分の時を先に行く居間の時計にわれの従ふ
咳こみて口にあてたる掌が不意に他人の匂いを放つ
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
固定ページ
2
固定ページ
3
…
固定ページ
13
次のページ