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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
門脇 篤史
焼きたてのチーズケーキが息をする鉄の型より外されるとき
藍くらき手の静脈を眼にたどるちちとなり父に似てきたる手
右からも左からも愛されていて肩をすぼめる九月の寝床
一斉にマロン関連商品の出回りてひとの死にやすき秋
ブロイラーをレグホンの卵でとじたもの同僚一○人一斉に食む
しっかりと命の気配を消しておくランチに添える固茹で卵
母さんはどんなものでもチンをする温かくてもこれは冷麺
花束はピアノの上に置かれたりアンコールへと入りゆく
静寂
しじま
少しだけ雨戸を開けるいま君を濡らしてる雨の音を知りたい
月光の溜まるプールに水わづか自我の深さと光の
量
かさ
と
フェルディナン・シュヴァルよ、蟻よ、かなへびよ、わがいとほしきものは地を這ふ
たそがれのコープ岩倉に購ひぬ「わけあり二十世紀」を三つ
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