吉田隼人のアーカイブ

友人がベジタブラーになったらしいならなくていいと思いました

死ぬもよし死なぬもよろし又ひとつどうでもよしの春は来にけり

かが鳴きて夕はかへる荒鷲のつばさにしのぐ筑波やま風

星座を結ぶ線みたいだよ 弟の名前を呼んで白髪を抜けり

しろくま科プランクトンが溺れててシャンパンに浮く彼らの気泡

捨てられた都ばかりが大きくて今は胎児に帰るうみへび

姉さんは今宵帰らず硝子窓力なく鳴る 冬が来ていた

ゆふまぐれ、とふ語の確實性のことなど思ひつつ江ノ電を待つ

稲妻の刹那きりぎしすみれいろ雨ははげしく斜めなりけり

水漬ける柱朽ちたる桟橋にいのちいとほし月の漣波

さらば夏アトランティスを見て来たと誰か電話をかけてこないか

かわやつめはぎにとりつき血を吸うと夢みしゆうべ熱すこしあり

深海魚光に遠く住むものはつひにまなこも失ふとあり

むきだしのそんざいならぬもののなき炎昼をつりがねの撞かるる

ふるとしの雪やいづくとあざかへしこのとしこの日趾とふなゆめ

「悪の華」と「実践理性批判」とがせせら笑へり肩をならべて

わが心深き底ありよろこびうれひの波もとどかじと思ふ

偶然の中に転がる永遠を
いっしょにみつけてくれたのはきみ

そうだよこれは夢からこぼれ落ちた炎 胸に灯してまた夢を見る

ミュージカルについてあまり悪く言わなかったことが結果的にプラスに働いた

滝川や浪もくだけて石の火の出でけるものとちる螢かな

なんとこの素敵な日よりの薔薇墻ばらがきへピストルおとし手のやりばなき

へーゲルを読みたる夕は三分計り熱あがりたり止めんとは思ふ

氷片にふるるがごとくめざめたり患(や)むこと神にえらばれたるや

月別アーカイブ


著者別アーカイブ