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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
平岡 直子
シャンプーのきみのあたまの泡のまにあたしの家があったがながした
ゆるやかな心変わりで幽霊に会えなくなった八月のこれから
空白の原稿用紙ひとマスは注射のあとにはりつけたまま
八月の蟻がどんなに強そうに見えるとしてもそれは光だ
ホームとの隙間が大きな駅に住むあなたの家を訪ねていった
兜虫の背中おさへたる虫ピンを写して明るき昭和の図鑑
坂道を上った先の消防の間口の広い建物に塔
CASAからわたしの部屋のベランダに干した真っ赤な布団が見える
リバーシブル! 正義の味方のやうな声発してきみは服うらがへす
月面に脚(あし)が降り立つそのときもわれらは愛し愛されたきを
前足に遅れまじとてうしろ足けんめいうごく横長の犬
ガラス一枚の外は奈落の深さにて五十階に食む鴨の胸肉
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